クロアチア・プロジェクトの始まり 〜人とのつながりが生んだ好機〜
>>>>>>>>>>> 蝦名玲子のストーリー


1998年末、パッチ・アダムス との出会いがなければ、
クロアチアで調査を始めることはなかったでしょう。

当時、米国に留学していた私は、ある日、パッチの半生を描いた映画『パッチ・アダムス』を観ました。
明るい感情が相手の意識や健康行動に与える影響に関する論文を書いていた私にとって、映画のなかの
パッチは、自分が追っている机上の理論をまさに実践している大先輩のように思われました。
また同時に、権力や既成概念の枠にとらわれずに信念を貫いた彼の生き様に強く共感し、目の前がパッ
と明るくなり、ひらめきを得たような不思議な感覚を覚えました。

パッチ・アダムスとロビン・ウィリアムス
パッチ・アダムス

本物のパッチとどうしても話をしてみたくなった私は、
自分の研究内容や彼の生き方に対する気持ちなどを綴った手紙を送りました。
すると、なんと1週間も経たないうちに、パッチ本人から返事が届いたのです。
映画のモデルにもなり,超多忙のパッチが、一留学生にすぎない私の手紙に
一両日中に返事を書いてくれ、それもはがきに1行2行ではなく、
便箋の表裏にびっしりと返事を書いてくれたのです。これがパッチとの出会いでした。

パッチの考え方や生き方を少しでも多くの人に広めたいと思い,
2000年、私はパッチの2冊目の著書『心からのお見舞い』を翻訳出版しました。
それから1年後、この本が、クロアチアに象を贈ろうとするプロジェクトに携わっていた
映画監督の門田得三さんに引き合わせてくれたのです。

翻訳本『心からのお見舞い』
パッチと私
『心からのお見舞い』出版を記して

パッチが出演したテレビ番組「聴こえますか? 僕らの夢」の収録時に、『心からのお見舞い』
を読んだ門田さんがパッチの通訳に私を起用してくれ、そのときに初めて旧ユーゴ紛争の詳細
を、そして紛争を経験した人たちに食料ではなく、希望と友情の気持ちを込めた象を贈ろうと
いう、クレイジーでステキなプロジェクトの話を聞いたのです 。
(このプロジェクトは、『ドバルダーン! エレファント』というドキュメンタリー映画になりました。
 ステキな映画ですので、ぜひ、ご覧ください。http://www.dobar-dan-elephant.jp/)

 
我が通訳兼コーディネーター、ゼリカ

以来、私はプロジェクトに直接的には関われなかったものの、旧ユーゴ紛争を生き抜いた人々
と一緒に健康な社会づくりをしたいと願うようになり、現在、研究コーディネーターを務める
ゼリカ・ラチキさんを紹介してもらい、研究をスタートさせることができたのです。

人のつながりは不思議なものです。
でも、つながったからには、何かステキなものを生み出していきたい、と心から願います。

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