【 GHCヘルスコミュニケーション通信 第14号 】 2008.3.22 発行
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発行元 : グローバルヘルスコミュニケーションズ(GHC)
        http://www.globalhealthcommunications.com
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=== 第14号 INDEX === 

1.エビーナ(蝦名玲子)の心からのメッセージ
 ● 政策と命 〜保健医療福祉専門職のあなたへ〜
 ● クロアチア・ヘルスプロモーション基金活動

2.GHCからあなたへ

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1.エビーナ(蝦名玲子)の心からのメッセージ ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

こんにちは! 
前回のメルマガで、宮崎県串間市での胃がん検診受診率UPキャンペーンのことを書いたら、たくさんの方々からの反響があり、ハッピーな、エッビーナです!

さて、最初にひとことだけ、質問の多かった内容、「成功のカギ」と串間市での取り組みの目標(夢)について、お答えさせていただきます。

このキャンペーンの成功のカギは、もちろん、戦略として、ヘルスコミュニケーションを駆使したこと。
しかしそれだけでなく、「ハッピー串間市民大学」という、健康教育と健康を支援するまちづくりの核となる組織(3年制の大学)を立ち上げ、健康で優しい文化づくりを同時並行して進めていることがあげられる、と考えています。
ハッピー串間市民大学の受講生(住民)のなかには、貝殻で大学のロゴをつくり、それを特注の枠に入れて、大学にプレゼントしてくれたり、講義で習ったヘルシーな料理をつくってもってきてくれたりする人も出てきて、愛校心の高まり(ソーシャル・キャピタルの増加)と健康教育の普及を実感しています。

高齢化率の高い地域でも、活気ある幸せな人生を送られる。
そんなモデルとなる地域をつくることが、私の夢、第一弾です。(ちなみに第二弾は、日本中を、そんな地域でいっぱいにすること!) 

だからこそ、月に1週間から10日間、串間市に滞在し、アドバイスや講演だけでなく、私自身が人間関係をしっかり築き、ソーシャル・キャピタルを増やすかかわり方をしているのです。


● 政策と命 〜保健医療福祉専門職のあなたへ〜

「コソボ独立を、EU主要国は承認する」と表明してから1か月。

以後、暴動が続き、先日セルビア政府は、独立を承認した日本政府にも抗議文書を送ったそうですが。

世界をみていると一部の権力者が人の命をにぎっていることがよくわかります。

「でもそんなこと、私たちの日常には、あまり関係ないし・・・」と思っている人が多いかもしれません。

しかし、政策が変わるたびに、それが良くも悪くも、人の命やQOLに影響することは、世界共通のことなのです。

「政策が変わる」といえば、これを読んでくださっている人は保健・医療・福祉分野にいる方々がほとんどなので、医療政策を身近に感じられていると思いますが、そんな皆さまに考えていただきたいことは、「少子・超高齢社会を迎えるいま、ただ単純に医療費を減らす対策をしていていいのか」ということ。

最近、「救急車で運ばれても、病院に受け入れてもらえなかった」というケースが出てきています。

これは、専門職のやる気と過重労働だけでは、もはやカバーできないところまで、システムが破綻してしまっていることを示しているのではないでしょうか?

既にシステム破綻の予兆が表れているときに、国が医療のために使うお金を抑制する方向で政策をつくるということの意味を、いま一度、考えたいものです。

下手をすると
日本を健康格差の大きな国にするということに、
さらには、私たちの命やQOLを危うくさせることに、つながりかねないのですから。

また、来月からスタートするメタボリック・シンドローム対策に焦点をあてた医療制度改革についても、ちょっと考えたいものです。

アメリカ糖尿病学会も、ヨーロッパ糖尿病学会も、メタボリック・シンドロームの概念そのものに否定的であるだけでなく、診断名として使ってはならないとする立場をとっています。
(李啓充先生の連載「続☆アメリカ医療の光と影〜緊急論考:小さな政府が亡ぼす日本の医療〜」医学界新聞より ←今回のメルマガ内容の引用・参考文献。本内容の詳細ほか、国民負担率と実際の国民負担の関係についてのディスカッションも面白く、素晴らしい連載なので、ご興味のある方は、ぜひ読んでみてください!)

それは、どうしてなのでしょう?

その理由を、私たちは、保健・医療・福祉関係の専門職としてきちんと理解し、考えたうえで、それぞれに求められている役割を果たしたいものです。

さいごに・・・
ヘルスプロモーションの行動戦略のひとつに、「健康な公共政策づくり」があげられています。
WHOのオタワ憲章では、保健・医療・福祉専門職の役割発揮の大切さが述べられています。

これは、政策が人の命やQOLに影響するため、
専門職には「常に政策を意識し、疑問を感じるときには声をあげる(アドボケートする)ことが求められている」からなのではないでしょうか。


● クロアチア・ヘルスプロモーション基金活動

クロアチア・ヘルスプロモーション基金のホームページをリニューアルしました!!

新しいアドレスは
http://www.globalhealthcommunications.com/croatia/CH.html
(↑ ここをクリックしたら、ご覧いただけます。不器用な私が、夜中に7時間かけてつくった、力作でっす! とはいえ、シンプルを極める感じですが・・・)

今まで毎年、春先にクロアチアに行って活動をしてきましたが、今年は活動内容の都合上、秋に渡航することになりました。

今年の活動は、日本の他の大規模組織と協力して行なうので、決定するまで、ここで書くことができないのですが、また決定したら、このメルマガやブログで参加を呼びかけますので、ご関心のある方は、随時、チェックしていていただけると嬉しいです!

あと私のクロアチアの友人のNGO(in Vukovar -- クロアチアで最も紛争被害の大きかったまち)から、将来、紛争後の復興や国際保健に関わりたい方のためのサマープログラム(英語で開催)についての案内です。

オススメです!!

SUMMER PROGRAM 2008 VUKOVAR

The Grassroots Experience of Post-Conflict Transformation
The Coalition for Work with Psychotrauma and Peace in Vukovar, Croatia, is delighted to announce its fourth annual Summer Program.
The aim of the program is to give the participant an impression of the reality of a post-conflict area and to establish a dialogue between the students and the hosting organizations and to assist the participant in refining his/her academic skills.
Specifically
* The participant should learn the practical aspects of work in a post-conflict area in terms of politics, religion, health (mental and physical), civil society, human rights, economics and reconciliation.
* The participant should learn the positive and negative aspects of the work of governmental organizations, international non-governmental organizations and local non-governmental organizations in general and in one specific case.
* The participant should learn various approaches to the problems of post-conflict areas and be able to evaluate them critically.
* The participant should have some idea of the differences between the theoretical approaches to post-conflict areas as put forward in university courses and the reality of the situation.
* The participant should have knowledge of one specific area of post-conflict areas of his or her choice and should be able to apply that to the specific case of Vukovar.
After successfully completing a course, participants will receive a certificate of completion.
The Summer Program comprises a series of local lecturers and forums offering a platform for discussion on a diverse range of subjects during four week course on post conflict issues, combined with an optional six week project period.
Students and staff will also be offered a recreational program, including excursion, social gatherings and cultural events.
Costs
Costs including a tax-deductible contribution, Internet use, use of office equipment and printing and copying, housing, celebrations and lunches for the intensive period of the course.
Summer Program 2100 Euros/3100 USD
Optional Croatian language course 350 Euros/ 515 USD
Project Period 600 Euros/ 885 USD
Costs for persons from Croatia, Serbia, Montenegro, Bosnia-Herzegovina and other areas currently in violent conflict and/or post-conflict are 100 Euros/150 USD.These cover only the course contribution and do not cover costs of transportation, housing, health insurance (required) or other costs.
Introducing the CWWPP
The Coalition for Work with Psycho trauma and Peace is a Dutch-registered organization that works on issues of health, civil society, non-violent conflict transformation and (re-) development of society. The Coalition has been in the region since 1995. The CWWPP has had interns and volunteers since 1999. They have stayed for periods ranging from a few weeks up to about six months. This Program in Post-Conflict Studies is part of the development of the Vukovar Field Institute for Post-Conflict Studies. More information about the Institute and other aspects of the CWWPP can be found on the CWWPP website, www.cwwpp.org.
Further information
All information and the application form for the Summer Program are available on the CWWPP website at http://www.cwwpp.org/Documents/Study/2008/Information%20and%20Application%20for%202008%202008%2002%2016.doc

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【 蝦名玲子の主な著書 】

★パッチ・アダムス著、蝦名玲子訳(2000).心からのお見舞い.英潮社
http://www.globalhealthcommunications.com/newsletter/kokorokarano.htm

★蝦名玲子著(2005).心に響く保健医療者のコミュニケーション術+10人のセレブとの対話.英潮社  
〜セレブとは、人々に感動を与えられるこの道のスペシャリストのことです〜
http://www.globalhealthcommunications.com/newsletter/kokoronihibiku.htm

【 DVD 】
                       
★『コンシェルジュ エビーナの科学&アートなヘルスコミュニケーション』
購入先→ライフ出版社(TEL 03-3815-3714)


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2.GHCからあなたへ ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

GHCでは、ヘルスコミュニケーションという視点から、「人の心に響く保健医療者になるための道」に向けて役立つ知識やスキル、感性を高めるためのご提案をさせていただいています。

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