はじめに


エビーナさんと待ち合わせた東京駅での出来事から話そう。

子供たちが夏休みに入ると、東京駅は、いつもの様相を少しだけ変えて、 構内のあちこちに、家族連れの姿が目立つようになる。
ITヘルコミュ会議のために、エビーナさんと待ち合わせた、2005年7月28日、木曜日。
この日も全く例外ではなく、平日だというのに、大きな荷物を抱えた家族連れが目に付いた。

中央乗り換え口付近で、エビーナさんの到着を待つ私の横にも、ひと組の家族がいた。
30代半ばぐらいのパパとママ、小学校低学年ぐらいの男の子、そして、幼稚園へやっと上がったぐらいの女の子の4人連れで、
女の子は、ラブラドールリトリーバーの真っ白なTシャツに、ブルーデニムのミニスカート、赤いリュックと赤いキャップがよく似合う
とても愛らしい子だった。

「ねぇ、ママー、まだこないの?」
「もう少しよ。」

どうやら、私と同じ新幹線を待っているらしい。

さて、新幹線到着の時刻がきて、中央改札付近がにわかに賑やかになった。
そして、私の横の家族の方に、似たようなタイプの家族(30代のパパママ、小学生ぐらいの女の子ひとり)が近づいてきた。
私の横の家族が、近づいてくる家族に手を振っている。
近づいてくる家族も、それに気づき、満面の笑顔で手を振りかえしている。
やがて、互いの声が良く聞こえる距離まで近づいたとき、開口一番、母親同士がこう言った。

「はじめまして!」

「こんにちは」でもなく、「ご無沙汰してます」でもなく、「元気でしたか?」でもなく、
「はじめまして!お会いしたかったです。」と言ったのだ。

えっ? 思わず、耳がダンボになってしまった私。
どうやら、彼らは、インターネットを通して知り合ったらしい。。
これから、上野動物園&国立科学博物館へ行くようだ...

ふーん。
インターネットコミュニケーションもここまで広がったか・・・。
と関心しているそのとき、マナーモードにしていた私の携帯が、エビーナさんからの着信を知らせた。
「はな*さん、どこにいますか?」
携帯電話の向こう側のエビーナさんに、
「中央乗り換え口の方・・・」と答えながら、私は考えていた。

私とエビーナさんの出会いもインターネット。
ネットを通して知り合い、今、こうして同じ目的にむかって一緒に活動している。
今、そこで見かけた家族の出会いも、インターネット。
普通の家族が、普通にネットにアクセスし、そこで知り合った友人のところへ、新幹線に乗って会いに来る。
出会いはインターネット。
そんなつき合いが、まったく特別ではない時代になった。
時代は、着実に変わっている。
保健師の活動エリアも、インターネットな場所にまで広げる時代が、もう来ているのかもしれない。



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